マウスバンジーを自作までの流れ
最近のマウスのケーブルはパラコードでなくても擬似パラコードでそれなりに柔らかい。多くの人にとって不満のない柔らかさだろう。疑似パラコード以上の柔らかさは取り回しは良くなるが耐久面が犠牲になるデリケートな配線になりがちのため、Model-oなんかは断線クレームが多発してるご様子。製品の純正に耐久性を確保してないケーブル採用はリスキーでトータルの評価を下げる方向になるかと思ってます。実際製品純正ケーブルとして採用されてるのは疑似パラコードまでのものが殆どになっているため、超柔軟ケーブルの多くは分解改造による選択肢となっています。これからは疑似パラコードが基準となり耐久性が確保されるまではしばらく停滞すると予想しています。
そして軽量化ブーム、マウス本体が軽量化する流れによってマウスの動きに対しての外的な力であるケーブルの摩擦抵抗や硬さによる抵抗が顕著に感じるようになった。数年前よりもマウスケーブルに対してシビアに考えられるようになり無線も候補として珍しくなった。
だが私は有線がいい。なぜならば充電が面倒くさいからだ。マウスバンジーを今まで必須とは考えてこなかったが軽量化マウスを使うほどにケーブルの存在感を異物として認識していくようになった、必須ではないがマウス周りの基準がやはり変わった。これはソールもパッドも同様で軽量化マウスに手を出した人が経験する沼の一端だと思う。
で、話を戻してケーブルが柔らかくなっても軽量化マウスによりケーブル取り回しも考え直す機会となりました。
今回思ったのです。マウスバンジーどれがいいのかさっぱりわからん!普通の人ならあまり何個も買うようなパーツでは無いので大半のレビューがアテにならず、かと言って参考にしてるサイトの後追いしてもアレかなぁ~ 面白みがなぁって私みたいな曲者は思うわけですねぇ。
だったら作ればいいじゃない。
そうなるわけですねぇ。自作する過程でマウスバンジーについて色々考えることが出来ました。とても楽しかったです。基本的に面白みを重視しているのでコスパは最悪です。まぁ会社の廃材を許可して使ってるので出費は0円ですが、自作するのに最も手軽なパーツの1つかと思うので自身で作るの面白いのでオススメです。その際の情報の足しにでもなればと公開する運びです。
マウスバンジー:Prototype One
マウスバンジーは幾つかタイプがありますよね。ある一点で固定する固定文鎮型、弾性を利用して柔軟に可動する可動型の2種に大きく別れるかと思います。
Prototype Oneは文鎮型を想定したものです。というのも元々は可動型でXtrfy B1をモデルとしたチューブ可動型を考えたのですがチューブを取り付けするステイの設計を全く考えずに土台だけ作った感じです。
自作バンジーの作成出来る環境は
・会社に五月蝿い人がいない
・休憩時間かつ自分のスケージュールに余裕がある
・ポンコツアナログ設備
という感じで数十分で非常にアナログな手法で手作りすることしか出来ないので、その場その場の思いつきで作る感じでした。そこで土台だけ作って思い出したものがある。今はなきSteelseries文鎮型バンジーである。現在は可動型が割合的には多いかとは思うがケーブルが改良されてくことで文鎮型でも十分に機能すると考えました。そこで緊急にベアリングを4つつけて可動文鎮型であるPrototypeOneが出来上がりました。
PrototypeOne説明&レビュー
土台のベース部分はアルミ板をヤスリで削りまくる。底面は傷がつかないように厚めの布テープで2mm程度のクッションを作ってやる。モノ自体の重さが1kg以上あるのでマウスの挙動程度の力では微動だにしないが位置を変えたい場合はスッと動く良い塩梅でベース部分に一切の不満はない。良好な仕上がりになった。何よりデスク上にむき出しの金属の塊がある意味のわからなさ、素敵やん?錆びないし金属の割には軽いアルミきゅんは尊い。傷などデリケートではあるが普通に考えて傷つく機会など無いのでお金持ってる人は純金で作ろう。
土台にくっついてるのは無意味に高精度なリニアレールである。型番としてはIKO製LHWD15C1BPS1を使用。この機構だけで1万を超える無駄使いっぷりがたまらん、製品でこんなことされたらfinalmouse以上の暴挙でありぶっ叩き必至ではあるが自作なので笑い飛ばせる。そしてなんとこのリニア、マウスの挙動ではほぼ動かないのである!何のためにあるんや!?
振り向きの際に持ち上げ移動ですら動かないリニア(モノ自体が重すぎ)だが、これはほぼ動かないことが利点となった。むしろケーブルのフリで簡単に動いてしまうと移動による慣性により反転動作で確実にマウスの挙動を阻害するからだ。つまり通常のマウス操作では一切動かないほうが都合がいい(文鎮型である場合)。
ただ普通に動かないだけならリニアである意味もないが、何かに引っ掛けたり、それこそ固定されてたらケーブルがぶっこ抜ける勢いで引っ張ると優しくスッと可動する。つまり緊急用の保険として機能してくれた。また微妙な距離調整も指一本ででスススっと簡単に行える。普通の文鎮と違うのはベース自体が横長で固定となるのでマウスパッドの上辺に添えて平行で位置を決めてる感じは無駄にスタイリッシュである。だがしかし高価なリニアである必要があったかと言えば完全にないのが素敵ポイント+2点と言ったところ。
ベアリングは2種を2つずつ使用。本来は画像にケーブル抜け防止のカバーがつく。ベアリングはNTN製NTR6と608Zを使用。軸はM4ボルトで遊びがあるので全ケーブルの太さに対応している。硬さもケーブルのハサミ具合で大雑把に変えられる。なにより見た目が変態チックで新型iphoneのカメラみたいだ。最近わざとチラ見せしてくる人チラホラいるよね、全然羨ましくないからよこせって思うよね。
実際使用して
文鎮型の上位互換とはなった。指一本でスススっと位置を調整出来るのがなんともスマート。長さ調整もベアリングが綺麗に回る。ただ文鎮型の時点で求める要素が少なくハードルが低いので当然とも言える。ただケーブルの保持具合はたまたまだが絶妙な具合になっており、ケーブルに負荷がかからず可動し調節できる。ベアリング作戦自体は成功だと思う。
現状の課題
ケーブルをただリニア箇所で簡易固定してるだけの存在でしかない。ケーブルそのものの摩擦が減るわけでも、長さが臨機応変に可変するわけでもないので大まかな機能は文鎮止まり。やはり高さを確保してある程度の可動箇所を作ったほうがパフォーマンスを期待できる。
ベアリングにより回転の硬さ具合の調整は可能ではあるが、固くする場合は狭く締め込む感じになる。ケーブルは金属線の撚り合わせでしかないので強く挟むほどコリコリとしたケーブルのヨレ感が発生してしまいスムーズな回転とはいかなかった。キツキツの設定だとベアリングの具合が気持ちよくないのでバネを仕込んで長さを自動調節する場合はベアリングは緩めて挟むべきだろう。
現状は最高の文鎮型ではあると思うが、自作するほどの価値があるかと言えば微妙でメタルキングをケーブルに置いたほうが導入は気楽だろうと思わされるので、悪くはないけど自作するほどでもないという評価になる